外資系投資銀行ジョブ対策3（バリュエーションのポイントと勉強法）

今回はSOLVE5期生（25卒）の方にご参加いただき、外資系投資銀行のジョブのバリュエーションに関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。

バリュエーションとは何か

バリュエーションとは、資産や企業の価値を評価するプロセスを指します。投資銀行部門のジョブでは、買収候補先として提案する企業の買収価格及び市場での株式買い付け価格を決めるために行うことが多いです。この作業は、3日間のジョブでは、班全員で行うことは少なく、バリュエーション担当になった人が、2日目に行うことが多いと思います。

バリュエーション方法には様々な方法がありますが、市場株価平均法(上場企業の株価を基に株式価値や企業価値を算定する評価手法)、類似企業比較法(コンプス)(評価対象企業と類似している上場企業の財務数値を基に、対象企業の企業価値を算定する方法)、類似案件比較法(類似する取引事例を調査して企業価値を算出する方法)、DCF法(企業が生み出すキャッシュフローに注目して企業価値を算出する方法)などが代表的です。

外資系投資銀行のジョブにおけるバリュエーションの位置付け

外資系投資銀行のジョブにはバリュエーションが含まれるものの、バリュエーションができることは、ジョブ通過にあたって必須要素ではありません。コンサルティングファームが第一志望の方などは、無理してバリュエーションの勉強に時間を割くのではなく、ストーリー部分に貢献することで評価してもらえるようにするのが良いと思います。

そうはいっても、バリュエーションに興味を持っていることは、投資銀行業務にきちんと関心を持っている裏付けにもなります。外資系投資銀行が第一志望の人は、社員と質問や、ディスカッションできるくらいの理解度を持っておくのが理想かと思います。　

外資系投資銀行のジョブで行うバリュエーションとは

ジョブでは、上記の4つの手法から企業価値を算定する指示が出る会社もありますが、市場株価平均法と類似企業比較法(コンプス)の2つのみを用いて企業価値を算定する会社も多くあります。市場株価平均法は単純作業的な側面も多いですが、類似企業比較法(コンプス)や、DCF法は、なぜその数値を用いたのか、ロジックを持って説明できる必要があります。

いずれにせよ、バリュエーションの最終ゴールは、フットボールチャートという、複数のバリュエーションの算定結果を棒グラフにして、一覧で並べたものを作成し、そこから買収価格を決めることにあります。

バリュエーションの勉強方法

バリュエーションは、詳細の処理部分については、神学的論争が起きているトピックなどもあり、学生が完璧にマスターすることは不可能です。一方で、上記の各手法のそれぞれのプロセスは、何のためにしているのか、どのような意味を持つのか、という基礎概念はマスターしておくことが重要だと思います。

バリュエーションで行う作業は、基本的には簡単な四則演算ですので、一見単純作業に見え、単に定義や公式を覚えれば良いのでは？という考えもあるかもしれません。ですが、数学の問題を解く時と同じで、概念の理解がないと、バンカーとのディスカッションや、ちょっとした応用に対応できなくなってしまいますので、気を付けましょう。

勉強方法というところに戻ると、本を読んだり、経済学部や商学部に所属したりしていれば、バリュエーションやファイナンス関係の授業をとってみるのも良いでしょう。以下、代表的な本を貼っておきます。

1.「コーポレートファイナンス戦略と実践」、著者田中慎一、保田隆明、ダイヤモンド社
 2.「MBAバリュエーション (日経BP実戦MBA2)」、著者森生明、日経BP

これらの本は、1回読んだだけでは、バリュエーションプロセス間のコンセプトや、繋がりなどが理解できないことが多いかと思います。一周目は、何となく全体をさらう目的でパッと目を通して、二周目以降、全体像を掴んだ上でコンセプトを学ぶのが良いかと思います。

また、実際にジョブに参加して、実際の作業の中で分からなかったことをバンカーに聞くのもとても良い勉強になると思います。実際、私はジョブに参加し、バンカーとディスカッションする中で、それぞれのバリュエーション方法に関する理解が深まったと感じています。また、同時に、評価の観点では、ファイナンスに興味がある子、として認識してもらい、その後ろのプロセスで有利に働いた側面もあったかと思います。

この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。