今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、外資系投資銀行投資銀行部門対策にも役立つかもしれない、金融市場に関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。
外資系投資銀行投資銀行部門の面接では、一定の金融知識が聞かれるというけれど、実際にはどれくらいの理解度を持って、どのように回答すれば良いの?というメンティーからの悩みに応えられればと思い、作成しました。
以前気になる資金調達関係の記事を執筆させていただきましたが、その際に、IPOに関してもどのようなことを話せば良いのか教えてほしい!というリクエストが来ましたので、回収させていただければと思います。
GENDAは、2023年7月28日にIPOしました。初値(株式が初めて証券取引所に上場して市場で取引された際の最初の価格)が1,637円となり、公募価格である1,770円を7.5%下回りましたが(初値が公募価格を上回れば滑り出しは良好、下回れば投資家に不人気だったと判断されます。公開価格を低く抑えれば投資家の人気は高まりますが、上場企業の資金調達額は減ってしまいます)、今では好調な業績や将来性が評価され、株価が2,500円と高水準で推移しています。
GENDAとは、日本のアミューズメント施設運営やエンターテインメント事業を手掛ける企業です。主にゲームセンターの運営を行い、特にセガのアミューズメント施設を買収したことで注目を集めました。クレーンゲームや体験型コンテンツを強化し、若年層を中心に幅広い客層をターゲットにしています。
GENDAは飛躍的な成長を続けており、社長がメディア露出するなど、注目を集めていることもあり、色々なまとめ記事が出ているので、面接などで話す場合には、そちらも参考にされると良いでしょう。ここでは、私なりの視点で、GENDAの強みや、ビジネスモデル面での面白さについてお話しできればと思います。
ビジネスエリアについて強み:クレーンゲームの将来性にいち早く目をつけ、それを実現した点クレーンゲームの収益性の高さや、将来性に関して、実はゲーム業界では、早い段階でコンセンサスが取れていたのかもしれません。私は、大学の企業研究の課題でラウンドワンを選択し、少し調べたことがあるのですが、競合であるラウンドワンは、数年前にクレーンゲーム専用フロアなどを設けた店舗などを新設していました。実際に足を運んで、1時間あたりの利用金額やコストを実地調査すると、客層としては、格好良いところを見せたいカップルや友人層などが何回も挑戦する一方、なかなか景品を取れないため、利益率が高いことが分かりました。しかし、ラウンドワンなどは、既存のアセットもあるので、一気にクレーンゲームを拡大するのはハードルが高かったのかもしれません。そんな中で、クレーンゲームに特化したGENDAが伸びていくのは、当然と言えば当然だったのかもしれません。
成長方針としてのLBOローンの活用についてLBOローン向きのビジネスモデルクレーンゲームは、安定的にキャッシュフローを生み出すビジネスモデルのため、LBOローン(買収対象企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に、買収資金の一部を調達する手法。買収資金の多くを融資で調達するため、少ない自己資金でも大きな買収を実行することが可能になる)の活用がしやすいビジネスモデルです。結果として、M&Aによる成長を早めることができます。また、LBOローンの活用によって、スタートアップに一般的なエクイティによる資金調達ではなく、銀行・債券投資家からデットとして資金調達をすることで、希薄化を抑えることができます。すると、創業者や、出資者であるミダスキャピタル持分を維持することができ、出資者にとっても美味しい資金調達ができるのです。このような戦略を巧みに使いこなせるのも、GENDAのCFOは、ゴールドマンサックス出身であることや、バックにファンドがついているためだろうと推測できます。
NAND型フラッシュメモリー世界3位のキオクシアの上場は、日本で今年最大の案件になると期待されていましたが、半導体市況の回復が遅いことを理由に機関投資家から目標額1.5兆円の半分程度まで時価総額を引き下げるよう求められ、結果的には8,000億円程度で上場することとなりそうです。
理系院生などで半導体に詳しい方は、半導体を巡るシクリカリティ(景気変動が循環的に繰り返されること)などに触れつつ話を構築していくと面白いかもしれません。
この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。
WRITER:みやじ
受けていた業界・企業:外資系投資銀行投資銀行部門(就職予定)・外資系戦略コンサルティングファーム