今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、社債金利に関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。特にDCM(Debt Capital Markets)志望の方は読んでくださると幸いです!
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社債金利は、企業が発行する債券に対して設定される利率であり、経済のさまざまな要因に影響を受けます。国債金利を基準に、企業の信用リスクや市場の需給バランス、インフレ期待などが金利を決定する重要な要因となります。社債金利の決まり方について以下で詳しく説明していきます。
社債金利は、一般的に国債金利を基準に決定されます。国債は信用リスクがほぼないとされ、リスクフリーの金利の代表例です。企業が発行する社債は、国債金利に上乗せする形で金利が決まります。たとえば、10年物国債の金利が1%である場合、企業が発行する10年物の社債金利は、この国債金利に上乗せして決まります。
国債金利の水準は、中央銀行の金利政策や経済全体の需給バランス、インフレ期待などに影響されます。したがって、国債金利が上昇すると、企業の社債金利も一般的に上昇することになります。逆に、国債金利が低下すると、社債金利も低下する傾向があります。
社債金利を決定する重要な要因のひとつは、企業の信用リスクです。企業が発行する社債には、企業が倒産するリスクやデフォルトするリスクが存在します。信用リスクが高い企業の社債は、リスクを補償するために高い金利を設定する必要があります。これに対して、信用リスクが低い企業の社債は、比較的低い金利で発行することができます。
企業の信用リスクは、信用格付けによって評価されます。格付け機関(例えば、S&P、ムーディーズ、フィッチなど)が企業の信用力を評価し、信用格付けを行います。格付けが高い企業(例えば、AAAやAAなど)は、信用リスクが低いため、社債金利は低く設定されます。逆に、格付けが低い企業(例えば、BBやBなど)は、信用リスクが高いため、より高い金利が求められます。
信用格付けが低い企業は、発行する社債の金利に対してスプレッド(上乗せ幅)が大きくなります。スプレッドが大きいほど、リスクが高いとされる企業の社債は高い金利で発行されることになります。
格付けの境目の基準は公開されておらず、事業会社は格付け機関に交渉する側面もあるようです。
社債金利は、市場の需給バランスによっても影響を受けます。具体的には、社債の需要と供給のバランスが金利に反映されます。需要が高ければ、企業は比較的低い金利で社債を発行することができます。逆に、需要が低ければ、企業は金利を引き上げて社債を発行しなければならなくなります。
金利環境が低い時(例えば、中央銀行が低金利政策を実施している時)は、企業が発行する社債も低い金利で発行しやすくなります。反対に、金利環境が高い時には、企業が発行する社債金利も上昇し、発行の難易度が増すことがあります。
また、市場の投資家のリスク選好にも影響されます。投資家がリスクを取る意欲が高いときには、高利回りの社債が売れやすくなり、金利が上昇することがあります。一方、リスク回避志向が強いときには、投資家はリスクの低い国債や政府債券に投資を集中させるため、企業の社債は売れにくくなり、金利が引き上げられることになります。
インフレ期待も社債金利に大きな影響を与えます。インフレが予想される場合、将来の貨幣の価値が低下するため、投資家はそれを補償するために高い金利を要求します。したがって、インフレ期待が高まると、企業は高い金利で社債を発行する必要が生じます。
逆に、インフレ率が低く安定していると予想される場合、企業は低い金利で社債を発行することが可能になります。インフレ期待が低い環境では、社債金利も抑えられる傾向にあります。
社債の期間も金利に大きな影響を与えます。長期の社債は、通常、短期の社債よりも高い金利が提供されます。これは、長期にわたる不確実性やリスクを反映するためです。企業が長期間にわたって資金調達を行う場合、金利が高くなることで、投資家はそのリスクを補償してもらうことになります。
短期の社債は、発行される期間が短いため、金利が低くてもリスクを取ることが比較的容易です。長期社債の場合、企業が予期しない経済の変動や金利の変動に直面する可能性があるため、金利が高めに設定されます。
最近では、一般的な社債の他に、通常よりも金利が低いESG債(環境や社会課題の解決に資する事業に資金を調達する債券)など、商品が多様化しています。特にDCM志望の方は、興味のある社債案件についても話せるようにすると差別化につながるかもしれません。
受けていた業界/企業:外資系投資銀行投資銀行部門(就職予定)・外資系戦略コンサルティングファーム