外資系投資銀行の選考対策 | 知っておきたい資本市場2

公開日:2025/04/12

今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、資本市場に関するレポート(2)を作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。

資本市場に関するトピックは、金利や債券、株式など、様々な要素が複雑に絡み合うため、最も理解が難しいトピックの一つですが、直近では急速に円安が進んでおり、注目を集めています。投資銀行の資本市場部門や、セールスを志望する学生だけでなく、M&Aに関わりたいと思う学生など金融業界を志望する学生は、しっかり時間をとって理解しておくべきでしょう。資本市場1の記事と合わせて読んでくださると理解が深まるかと思います。

日経平均はなぜ上がっているのか(トランプ関税前の話です)

一つ前の記事でご紹介した通り、株式相場は金利や、その他金融市場の影響を強く受けますが、ここでは、その他関連があると言われている要素をご説明できればと思います。

円安(前回の復習):日本は輸出企業が多いですが、円安状態化では、円換算での利益が増えるため、好調な決算が続き、株価が上昇してきました。(株価=EPS(Earnings Per Shareの略で、1株あたりの純利益(当期利益)*PERに分けた時の、EPSの部分ですね)

外国人投資家の買い越し:日本株の売買代金の約7割が外国人投資家によるものと言われており、機関投資家が日本市場にどれくらいの資金を投下するかも相場に影響を与えてきます。近年の円安により日本株が相対的に安く見えること、東京証券取引所が2023年3月に出したPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善を促したことで将来的な株価上昇が見込まれること(PBR1倍割れとは、市場から「解散価値以下の評価」を受けている状態)、ROEの改善、自社株買いが進んでいることなどを背景に、外国人投資家が日本株を積極的に買い越し(買った株の金額が売った株の金額を上回る状態)ており、需給の改善が株価上昇を支えています。

各種不安の後退:数年前は、ロシアによるウクライナ侵攻や、シリコンバレーバンクの破産を発端とする金融不安などがありましたが、こうした不安要素が後退していることも株価上昇の要因と言えそうです。

金利調整とは

金利は、株式相場にも債券価格にも影響を与える重要な要素です。

金利調整は、中央銀行(日本では日銀)によって行われる金融政策の一つで、経済の安定を保ち、物価や経済成長の目標を達成するために行われます。

日銀は、物価上昇目標と現実の乖離や失業率、財政政策など、様々な要素を複合的に鑑みて、金融政策を決めています。全てを理解するのは膨大な時間がかかってしまいますので、大きく金利が動くときに、その背景を何となく説明できるようにすれば良いと思います。

金利が上がると何が起きるのか

金利が上がると、金融機関は、高い金利で資金を調達するしかなくなり、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げることになります。金利が上がると、企業や個人は資金を借りにくくなるため、消費や投資が減少し、経済活動が抑制されます。これにより、商品の需要が供給を下回るようになり、物価の上昇が抑えられます。

金利が下がると何が起きるのか

金利が下がると、金融機関は、低い金利で資金を調達できるので、企業や個人への貸出においても、金利を引き下げることができるようになります。金利が下がると、企業や個人は資金を借りやすくなるため、消費や投資が増加し、経済活動が促進されます。これにより、商品の需要が供給を上回るようになり、物価の上昇が進みます。

日銀は、2%物価上昇目標の持続的・安定的な実現を掲げてきました。直近までマイナス金利政策(日銀が民間の金融機関から預かる当座預金にマイナス金利をつけることで、預金者が金利を支払うことになる)が行われていたのは、2%物価上昇目標を達成するためだと考えられます。

直近の金利の動きとその背景

日銀は、2024年3月にマイナス金利政策を解除しました。その理由は、2%物価上昇の安定的実現を見通すことができるようになり、賃金と物価の好循環が見通せるようになったと判断されたためです。さらなる利上げに関する報道も出ていますが、これは、上記理由に加えて、急速な円安が進んでいることも背景と言われています。


この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。

みやじ
執筆者:みやじ

受けていた業界/企業:外資系投資銀行投資銀行部門(就職予定)・外資系戦略コンサルティングファーム

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