今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、フェルミ推定に関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。
フェルミ推定は、大まかに言えば、限られた情報しか得られない中で、数値を概算することを指します。簡単な仮定を積み重ねて計算し、素早く概算を導きます。よくある例だと、例えば、日本国内のコーヒー店の市場規模を求めよ、などがあるかと思います。これを考える際には、コーヒー店の市場規模がどのような要素の掛け算で表されるのかをまず考えます。そして、さらに、自分が生活する中で、それぞれの要素を正確に推定できる細かさまで、それぞれの要素を分解していき、求めるべき数値を算定していきます。
戦略コンサルティングファームでは、インターンに参加する前に複数回出題される場合が多いと思いますし、また、最近では、商社や金融系の面接でも一部取り入れられることがあるようです。面接官と話しながらフェルミ推定を行うことが最も一般的ですが、会社によっては、フェルミ推定の結果を説明している様子を録画して提出し、それが採点される形式や、筆記試験のような形で課され、アウトプットを写真に撮って提出する形式もあるようです。
まず、面接形式のフェルミ推定の大まかな流れをお示しできればと思います。最初にお題が発表された後、1分から3分前後の思考時間が与えられ、その後3分前後で思考時間に考えたことを発表する時間が設けられることが多いかと思います。そしてその後、面接官からいくつか質問がなされ、ディスカッションになっていきます。ディスカッションでは、フェルミ推定の過程に抜け漏れがあれば、それが指摘されることもあるかと思いますし、突っ込みどころがない場合には、どの変数が最も動かしやすいか、どのように動かすのが最適か、など、ケース面接に近いお題が出題されることもあるかと思います。
測られる能力に関して、最初のアウトプットに関しては、複雑な事象を冷静に、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive、漏れなく、ダブりなく)に、各要素に切り分ける力を測っていると思われます。
また、いくつもの切り分け方がある(例えば、ホットペッパービューティーなどの予約サイトの売り上げを考えるときに、美容院の利用者がX人いて、その中で予約サイトを使う人はX%いて、ホットペッパービューティー選択率はX%、と切り分ける方法もあれば、美容院店舗数に着目して、同様に切り分ける方法もある)中で、重要なドライバーは何かを特定し、そのドライバーが要素として含まれるような切り分け方をできるか、などの能力も測られていると思います。(ホットペッパービューティーの場合、月額利用料を店舗が払っているという仮定を置くなら、店舗数に着目した後者の方が筋が良いと思います)
また、ディスカッションパートに関しては、フェルミ推定に抜け漏れがあり、それが指摘されたならば、素直に素早く訂正する能力が見られていると思いますし、ケースに似た発展的な展開になれば、課題を論理的に分析し、実現可能性の高い施策に繋げていく能力が見られていると思います。
コンサルティングファームや、外資系投資銀行、ファンドなどの仕事において、フェルミ推定を用いる、あるいはフェルミ推定的な考え方をする場面は多くあるかと思われます。
コンサルティングファームでは、インターンでも行うことがあるかと思いますが、売上や利益、コストなどを要素ごとに分解して、何が要因で売上が伸びていないのかや、どの要素が変数で、上昇させうるのかを考えながら、プロジェクトを進めることがあるかと思います。
投資銀行業務やファンドなどの仕事においては、バリュエーションに必要なモデルを組む際にフェルミ推定的な考えをする場合があるかと思います。オペレーティングモデル(売上高や、コスト、営業利益、EBITDAなどからフリーキャッシュフローなどを出す)を組む際には、売上やコストなどをどの要素に分解すべきかを考え、将来的にどの要素がどれだけ変化しうるのか、そしてそれがフリーキャッシュフローなどの財務数値にどれほど影響があるのかを調べます。
この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。
WRITER:みやじ
外資系投資銀行投資銀行部門(就職予定)・外資系戦略コンサルティングファーム