今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、外資系投資銀行投資銀行部門の選考でよく聞かれる、最近気になるM&Aに関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。
外資系投資銀行投資銀行部門の面接では、一定の金融知識が聞かれるというけれど、実際にはどれくらいの理解度を持って、どのように回答すれば良いの?というメンティーからの悩みに応えられればと思い、作成しました。
この質問は頻出質問、かつ重要質問のように表現されますが、実際にはそこまで重要ではない気がしています。もちろん、投資銀行業務への興味を示すために回答内容を考えておくべき項目ではありますが、実際の面接では、面接官が聞くことがなくなった時に聞かれることが多い印象でした…。よくある質問として、会社ごとに案件を変えるべきか(その会社がFAを務めた案件を言うべきか)、と聞かれることがありますが、これに対する回答は、FAが誰かを特に気にすることはなく、純粋に興味を持った案件を伝えれば良い、かなと思います。仮にビューティーコンテスト(売り手側のフィナンシャルアドバイザーの選定作業)で落とした案件だったとしても、特に嫌な印象を与えてしまう、ということはないかと思います。また、気になるM&Aに対する回答は、複数(2-3つ)は用意しておくべきかと思います。集団面接において、前の人と答えがかぶると大変気まずく、また、たまたま用意したものが一緒だったとしても、後に答えた人は前の人を真似したかのような印象を与えてしまうからです。
純粋に興味を持ったものを選んでいただくので良いと思いますが、理系院生は自分の研究分野に絡んだものを紹介したり、留学経験のある方は、その国に関するM&Aを紹介したりする場合も比較的多いかと思います。最近では、事業の選択と集中の流れで、アクティビストが主導するカーブアウトや、ファンドによる買収案件も増えてきましたので、確認してみると面白いかもしれません。特に、ベインキャピタルとKKRが買収合戦を繰り広げている富士ソフトに関する案件は、結果次第では、株主第一主義に関する考え方や、オークションのあり方、ファンド間契約のあり方などに関して面白い示唆を与えてくれるかもしれません。
いつ行われたM&Aか、買収金額はいくらか、どこの企業がどこを買収したのか、というのは基本情報として、第一文目で示すと良いかと思います。第二文目以降で、案件の詳細や、買収価格に関して、気になった理由などを話すと良いかと思います。
私は、以下のM&Aをメインで用意していました。全てを1回の面接で話すというニュアンスではなく、聞かれた時のための用意を以下の粒度でしていた、というイメージです。基本情報:2023年4月に発表された、 キリンが、オーストラリアの健康食品会社ブラックモアズを1,700億円で買収したというニュース
ビジネス面
キリンを競合他社であるアサヒビールと比べた時に、同じ業界に属する会社でも、成長戦略が違いうるという点が如実に分かる買収案件だと感じ、面白いと思った市場:国内ビール業界は、人口減少・健康志向によるアルコール離れなどにより、縮小する見込み→各ビールメーカーは新しい市場に進出することが必要その中でのキリンとアサヒビールの位置付けキリン:健康食品・医療に手を出し、事業の多角化を狙うアサヒビール:東ヨーロッパ、オーストラリアのビール会社などをM&Aし、ビールで海外に進出する両者ともM&Aが盛んだったが、近年では、ブラジルの買収で減損を出して失敗したため、M&Aに対する姿勢はキリンは慎重だったが、それでも今回、大型買収により、販路+製品技術を買うことを決めた
買収価格の高さ
インプライド EV / FY23 EBITDA マルチプル:19.7倍(本業から得られる収益であるEBITDAが、企業価値の何倍かを表す指標で、数値が大きければ大きいほど回収に時間がかかる=割高ということ、小売業界の平均は12倍程度)と、割高感のある銘柄に思えるが、高値掴みではないのか?ブラックモアズは、オーストラリアのドラッグストアにおいて、広い販売面積(=顧客との接点)を誇っており、知名度も高い。健康食品は安全性や商品への信頼度が重要となるため、ブラックモアズは、オーストラリアで他のキリン製品の売上拡大というシナジーも考慮すると、この高いマルチプルを正当化できるのかもしれない(たまたま、オーストラリアに留学していた時 に、ブラックモアズの製品を見たことがあっ た。)また、海外において、小売とのコネを一から作るのは時間と手間がかかるため、事業の多角化・かつ海外進出をいう目標を叶えるためには、時間を買うという観点でもM&Aが必須という風に考えたのではないか
この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。