外資系のIT/DS職を志望する場合、英語面接が選考プロセスに含まれることが少なくありません。多くの学生が「英語面接はハードルが高い」と感じるのはごく当然のことです。しかし実際には、英語力そのものよりも自分の考えを伝えようとする意思と熱量が評価されるため、十分かつ適切な準備をすれば対応可能です。
本記事では、英語面接の一般的な傾向や特徴的な質問、効果的な対策方法について詳しく解説していきます。確かな自信を持って英語面接に臨めるよう準備していきましょう。
目次
ITコンサルのケース面接では、ビジネス課題とIT要素を絡めたケースが頻出です。
英語面接は、日本語の面接とベースとなる内容は変わりません。「自己紹介」「志望動機」「ガクチカ」「強み・弱み」といった人物面接としてオーソドックスな質問や、「趣味」「通学中にしていること」などカジュアルな話題が英語で問われることが一般的です。そして英語面接では、以下のポイントが特に重視されます。
・論理的な説明力:結論ファーストで、聞き手にとって分かりやすい構成で話せるか。・コミュニケーション力:聞き手の反応に応じて、対話をスムーズに進められるか。・柔軟性:質問の意図を正しく理解し、的確に回答できるか。質問内容が分からなかった時に、意味を確認するなどの対応ができるか。・自信と姿勢:流暢でなくても、自信を持って伝えようとしているか。
ネイティブのように速く流暢に英語を話す必要はなく、むしろ「拙くても構わないので、自分なりに考えを論理的に伝えられるか」が試されている点に注意しましょう。
外資ITの企業などでは、特徴的な質問が課される場合があります。特に聞かれやすい3タイプの質問を例とともに解説します。
“Explain your research area in simple terms.”(研究分野をわかりやすく説明してください)“What coding languages are you comfortable with?”(どのプログラミング言語に習熟していますか)
このような質問に対しては、表現レベルと構成レベルで意識しておく必要があります。表現レベルでは、シンプルな表現と具体例を可能な限り用いるようにしましょう。専門用語への言及は説明したい内容の核となるものに限定し、「○○の世界でいう××のようなもの」と例えられるとよいでしょう。構成レベルでは、PREP法 (Point→Reason→Example→Point) を活用し、全体で述べたいことが明確でかつ適切な長さでまとめる (追加の質問で埋める余地を作っておく) のが効果的です。
“Tell me about a time you faced a technical challenge and how you solved it.”(技術的な課題に直面し、どのように解決したか教えてください)多くの場合、エントリーシートに記載した内容と呼応する部分があるので、記載内容と矛盾のないように伝えることが重要です。なので、エントリーシートの段階から、面接を意識して推敲しておきましょう。主に、STAR (Situation→Task→Action→Result) フレームワークを用いての整理や、問題意識から解決の流れの明確化、定量的成果の表現などを適切にしているかを確認しておくとよいと思います。詳しくは、エントリーシート対策の記事をご覧ください。
“You disagree with an important decision in a project, but you are not in a senior position or involved in the decision-making process. How would you handle this situation?”(重要なプロジェクトの意思決定に反対意見を持っているが、あなたが意思決定をする上級メンバーではない場合、どうするか)
「ケース面接」とはまた異なる、実際のビジネスで起こりうる仮想的なシチュエーションを与えられ、その場合にどのような行動を取るかを問われる質問です。多くの場合、行動だけでなくそれに至った経緯も聞かれるので、論理的に整合性のある返答ができていれば問題ないと思います。回答に決まった答えはありませんが、その企業が重視する価値観に反しない方向のアクションを心掛けるとよいでしょう。
英語面接に苦手意識がある人は、以下を試してみてください。
<重要なポイント>1.暗記ではなく、スムーズに話すことを目指す2.可能な限りシンプルな文章を使い、自分の言葉で話す3.録音して聞き返し、改善点をチェックする
1点目は最終的なゴールとして意識するようにしましょう。その最初の段階として大まかな回答のメモが必要になりますが、仮に想定した質問と同じことが聞かれたとしてもメモの読み上げをするのは好ましくありません。そこで自力で使える表現の範囲内になるよう、2点目の意識が重要になってきます。3点目は具体的な練習方法の例ですが、強調したい部分が抑揚として伝わっているか、文同士の内容が論理的につながっているかを中心に確認すると効率的です。
話す中で不便を感じたら、汎用性の高いフレーズをストックしておくことも必要です。コミュニケーションスキルの観点では、単語や節ではなく完全な文章で回答するべきなので、骨組みを覚えておく+内容となる節部分を入れ替えることで使える表現が倍増します。
(例1)
骨組み:“What I found most challenging was [困難な点], but I handled it by [対応策].”(最も困難だったのは[困難な点]でしたが、[対応策]で乗り越えました。)
[困難な点]の入れ替え:aligning opinions among team members (チーム内の意見をまとめる)debugging a complex algorithm (複雑なアルゴリズムのバグを見つける)[対応策]の入れ替え:facilitating open discussions (話し合いの場を設ける)breaking down the problem step by step (問題をステップ毎に分解する)
(例2)
骨組み:“Through [経験], I learned that [教訓・気づき].”([経験]を通じて、[教訓・気づき]ということを学びました。)
[経験]の入れ替え:balancing my studies and part-time job (学業とアルバイトを両立する)working with international team members (国際的なチームメンバーと働く)[教訓・気づき]の入れ替え:time management is essential for maintaining high performance (時間管理が高いパフォーマンスの維持に不可欠である)cultural differences can lead to different problem-solving approaches (文化の違いが異なる問題解決のアプローチを生み出す)
これは短期的な対策方法ではありませんが、時間がある場合は英語でアウトプットする習慣をつけると良いと思います。英語を読む・書く機会は研究等の中で行う場合が多いと思いますが、話す・聞く機会はなかなか自然には生まれません。現在はAI英会話を安価で契約できますし、ニュースの英語リスニング教材も多くあるので活用の幅は広いといえます。「選考対策」と意気込まずに英会話の経験値を高めることで、英語でのコミュニケーションへの抵抗感は薄れていくでしょう。
~記事の終わりに~帰国子女や長期留学経験者など、バックグラウンドの違いによる英語力の差から、英語面接は「どうにもできない選考」と考えられることが多いと思います。ただ、その中でも自分なりの戦い方をすることで、選考の中でコミュニケーションスキルと意欲を見せることは可能なのではないでしょうか。企業の社員さんの中にも、あまり発音が良くないながらも海外のメンバーと打ち解け、明快なスピーチをされる方を多く見ました。
ここまで4記事でIT/DS系の選考を特集してきました。取っ掛かりにくい選考でも、何かしらのアクションは取れると思いますので、是非活用していってください!
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