似たようなバックグラウンドやガクチカを持っていたとしても、就職活動が上手くいく(=難関企業に内定することとは限らず、キャリアに納得する)人とそうでない人が両方存在します。それらを分かつ要素は何なのか、全てを記すことは困難ですが、大きな要素の1つとして就活に臨む上でのマインドが挙げられます。これから就活を行う上で、選考の要所や行き詰った際に思いだせるよう、ソフトスキルとしての心の持ちようを考えていきましょう。
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就職活動において、単なるスキルや経験だけでなく、どのような姿勢で臨むかが結果を大きく左右します。その中でも「成長マインドセット(Growth Mindset)」を持つことは、長期的なキャリアの成功に直結する重要な要素です。これは、個人の能力や知識は努力によって向上し、失敗を学びの機会として捉える考え方を指します。このマインドセットがあるかないかで、就活中のパフォーマンスの改善度合いやストレスの感じ方、そして最終的なキャリアの選択肢までも変わってきます。
成長マインドセットを持つことの最大の利点は、選考での失敗を建設的に捉えられることです。例えば、面接の深掘りに対する返答をうまくできなかったのは、決して「自分には能力がないからだ」と結論づけられるものではありません。むしろ、「どの部分が問題の根幹か、どの部分を改善すれば次に繋がるか」という貴重な成長機会です。これは自身でも見つめ直す必要がありますし、面接官などからフィードバックが得られた場合は記録して積極的に成長材料にすべきです。フィードバックは単なる批判ではないため、それを受けて次回の選考を通過するためにどのような具体的な行動ができるかを考える習慣がつきます。
成長マインドセットを持つと、自己分析や企業研究といった準備段階でも、より能動的に学習できるようになります。例えば、周囲の志願者に比べて自分にはまだ十分な業界理解がない場合に、ネガティブに捉え不安に駆られるのではなく「まだ伸ばせる余地があるから、残り××日で○○の情報源を活用して深めよう」と考えられるようになります。このような姿勢を持つことで、準備の時間を効率的に使うことができ、選考を通じて成長しやすくなります。最終的に、自身に合った企業への内定獲得につながるといえます。
一方で、固定マインドセット(Fixed Mindset)のまま就職活動を進めると、困難に直面したときに「自分には向いていない」「これ以上努力しても無駄だ」と考えてしまいがちです。このマインドに偏ると、数社の面接で落ちた時に「自分にはそもそも能力がない」と決めつけてしまうと、その後の改善策を模索することなくモチベーションを失う原因になります。このマインドセットが自身の可能性を狭めることで最終的に志望企業を諦めたり、自身にとってベストな選択をする前に妥協したりする可能性が高まります。
また、固定マインドセットの人は、フィードバックを受けることを怖がる傾向があるほか、フィードバックを受けても「自分が否定された」と感じやすく、成長の機会を逃しがちです。企業の選考過程では「合わない」理由を本人にフィードバックすることが多いですが、それを受け止め、次に活かす姿勢がなければ、同じミスを繰り返すことになってしまいます。
1.失敗を学びに変える就活での失敗は、自分の適性を知る貴重な機会です。すべての選考に通過することはほぼ不可能であり、する必要もありません。最も重要なのは、選考結果を分析し、何が評価され何が不足していたのかを振り返り、次回のアクションに移すことです。例えば「面接の受け答えが論理的でなかった」と感じたら、PREP法(Point→Reason→Example→Point)を取り入れるなど、実行できるレベルの具体的な改善策としてまとめましょう。
2.継続的な自己成長を意識する就活はゴールではなく、キャリアのスタートラインです。仮に志望度の高い企業の内定が得られなかったとしても、そこで得た経験や学びが今後の成長に活かせる場面は多くあります。常に新たなスキルを習得するための情報収集やコーチングなどを習慣化すると、就活の枠にとどまらない人間的な成長につながります。
成長マインドセットを持つことで、選考中のプレッシャーに押しつぶされることなく、自分の可能性を最大限に引き出すことができます。今後の選考に臨む際には、「自分はまだ伸びる余地がある」「この経験をどう活かすか考える」という視点を持ち、一歩ずつ前進していきましょう。
自己肯定感は、就活の成功に直結する重要な要素です。自己分析や企業研究を十分に行っていても、自分に自信が持てなければ、面接官には説得力のある自己PRや志望動機として伝わりません。特に選考の終盤では、思考力やスキルが十分かという観点だけでなく「この人と一緒に働きたい」と思わせる魅力が求められます。そのため、高い自己肯定感のもと自信を持って選考に臨む姿勢が一層重要になります。
過去の成功体験を振り返ることで、自分の強みを明確にできます。必ずしも大きな実績である必要はなく、何らかの課題を乗り越えた経験とその経緯を洗い出し、それが自分のどの能力や価値観と結びついているかをアップデートしましょう。「なぜそれをやろうと思ったか」「どのように取り組み、成果を出したのか」「今の自分なら、どのようにやるか」を整理することで、選考時のエピソードに具体性が生まれます。
選考では単に「優秀である」だけでは不十分です。他の学生と差別化できる独自の経験や視点を強調することが重要です。選考の過程で、面接官に魅力が伝わり切っていないと感じたら、どのようなことを知っておくべきであったか、応答の中でどのように強調すべきだったかを個人または信頼のおける人と振り返る状況を作りましょう。そして、自信が揺らぎやすい局面ではポジティブな自己認識を持つことが大切です。「自分はこういう場面で力を発揮できる」「この経験があるから大丈夫」と、日常的に自分の強みを言語化することで、面接やグループディスカッションの場で不用意に怖気ることなく振る舞えるようになります。
特に多くの利害関係者が絡む業種では、多角的な視点で物事を考えられることが重要視されます。「このエピソードで、○○さんはなぜ反対していたのか」「××も可能だったのになぜ選ばなかったのか」といった視点を持ち、思考の柔軟性をアピールすることで、応答の説得力も増します。
自己肯定感を高めることは、単なる気持ちの問題ではなく、選考突破に直結するスキルの一つです。十分な準備を前提として、適切にアピールできる状態を整えましょう。なお、自己肯定感が高いことは、自信過剰で高圧的になることとは全く異なるので注意してください。
~記事の終わりに~不安やストレスへの対処法は、個人で大きく異なります。ここでは一般的に理想的と言われるマインドセットとモデルとなる行動を紹介しましたが、向き不向きの個人差は必ず存在します。情報の真偽を見極める情報リテラシーの他に、情報の内容を自分に合ったようにカスタマイズする力も養えるとよいでしょう。普段真面目な人ほど忠実に実行しがちですが、もう少し気楽にいてもよいと思います。
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