今回はSOLVE5期生(25卒)の方にご参加いただき、外資系投資銀行投資銀行部門の選考で聞かれうる、最近気になる資金調達に関するレポートを作成しました。27卒の方やSOLVEに入会を希望される方のご参考になれば幸いです。
外資系投資銀行投資銀行部門の面接では、一定の金融知識が聞かれるというけれど、実際にはどれくらいの理解度を持って、どのように回答すれば良いの?というメンティーからの悩みに応えられればと思い、作成しました。
投資銀行部門の面接の頻出質問として紹介されることは少ないですが、最近気になるM&Aが頻出質問である以上、この質問に対する想定回答も作成すべきだと思います。特に、キャピタルマーケッツ部門(株式発行や社債の発行などを担当する部門)志望の方は、よく考えておくべき質問だと思います。
資金調達関連でありがちな誤解として、大型のM&Aには株式による資金調達がよく用いられる、というものがあります。確かに、サマージョブなどでは、実際に実現する可能性が低いほど大型の買収提案をすることが多く、その場合は、負債比率を上昇させすぎない手段として、新株発行を選択する場合も多いかと思います。しかし、実務において、資金調達コスト(一般的に、投資家が背負うリスクと比例する。投資家にとってのリスクが大きければ大きいほど、期待リターンも高いので、資金調達コストが大きいと言える。)が大きい新株発行を選択することは滅多にありません。
大型の設備投資のための資金調達案件や、M&Aに伴う資金調達案件は、企業の成長戦略などのビジネス面と絡む部分ですので、比較的話しやすいかもしれません。また、大型・小型問わず、IPO案件に関する話をするのも良いかと思います。外資系投資銀行を受けられる方は、海外でのオファリング(資金調達)案件が多いのが外資系の特徴の一つでもあるので、海外投資家とのつながりの側面を話すのも良いかもしれません。最近では、SDGs債やESG債などの時代の流れを反映するような資金調達方法も増えていますので、これに関連する話を拾ってくるのも面白いかもしれません。
少し話がずれますが、海外でのオファリングに関連して、日本では、歴史的に低金利が続く中で、日本でオファリングせずに海外でオファリングする意味はどこにあるのか、などを考えるのも面白いかもしれません。
資金調達ニュースの話し方としては、買収案件と同じく、いつ行われた資金調達か、調達金額はいくらか、調達方法は何か(株式・社債など)、調達した資金使途は何か、というのは基本情報として、第一文目で示すと良いかと思います。第二文目以降で、案件の詳細や、資金調達方法や、それに絡んだ企業のビジネス面に関して、気になった理由などを話すと良いかと思います。
以前のM&Aに関する記事でご紹介した、2023年に行われたキリンによるブラックモアズ買収に関する案件に関する900億円程度の社債での資金調達です。この資金調達は、国内食品会社として過去最大規模のSDGs債であり、また、国内食品会社が、買収のみを資金使途としてソーシャルボンドを発行するのは初めてとのことです。何百もの会社が資金調達をしているので、株式発行にせよ、起債にせよ、資金調達成功にあたっては、投資家のアテンションを引くことも重要な要素の一つです。特に、債券の場合は、定期的な起債が沢山行われるので、投資家のアテンションを引くのはなかなか難しいですが、国内初が重なることで、かつ最近注目度の高いソーシャルボンドで起債することで、今回の資金調達もしやすくなり、かつ、その後のシナジーや業績にも注目を集められる点で、意義のある資金調達だったのかと思います。
最近では、宇宙系などホットな業界でのベンチャー企業のIPOや、東京メトロなど民営化に伴う巨大IPOが起こっています。IPO案件に関して話すときは、その規模や、何のためのIPOなのか(ビジネス面と絡めて)という要素や、どれくらいのバリュエーションがついているのか、公募価格(上場前の株の売り出し価格)に対して、初値(新規上場した銘柄に対して最初に売買が成立した金額)がどのように変動したか、などに関して触れてみると面白いかもしれません。
この記事はここまでですが、少しでもこれから就職活動を始める方々の参考になれば幸いです。また、他のライターによる興味深い記事もあるかと思いますので、就活の息抜きにでも読んでいっていただけると幸いです。
WRITER:みやじ
受けていた業界・企業:外資系投資銀行投資銀行部門(就職予定)・外資系戦略コンサルティングファーム